フィードバック

部下にフィードバックを響かせる3つの方法

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管理職の方は部下にフィードバックをする機会も多いと思いますが、そのフィードバック、きちんと部下の方に響いているでしょうか?
アメリカ心理学会の研究では、フィードバックを受ける人は内容を30%しか覚えていないという結果がでたそうです(※)。せっかくフィードバックをしたにも関わらず、30%しか活かされないのはとてももったいないと思いませんか?フィードバックのやり方は分かっているという方も、この機会にもう一度ポイントを押さえておいてはいかがでしょうか。
今回は①相手の行動に対して具体的にフィードバックすること、②フィードバックはポジティブな言葉で挟むこと、③フィードバックのタイミングを見極めることの3点を中心にフィードバックをより効果的に相手に伝える方法をお伝えします。
また、このフィードバックを効果的にするためのタイミングもあわせてお話していきたいと思います。

1.相手の行動に対して具体的にフィードバックする
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有効なフィードバックのために最初に気をつけるべきなのは、相手の行動に対して具体的にフィードバックをする、ということです。

たとえばこんなフィードバックを受けたらどうでしょうか。
「君は会議でのやる気のない態度をどうにかしろ」

これでは、具体的にどのような行動がいけなかったのかが分からず、フィードバックを受けても改善する方法がよくわかりません。治す方法も分からないままに怒られてしまっては、部下は余計にやる気がなくなってしまいます。
性格や態度へのフィードバックは、どうしても主観的で曖昧な内容になってしまいます。目についた相手の態度や性格に対してフィードバックをするのではなく、必ず行動に対して具体的にフィードバックをするようにしましょう。

それでは、会議の発言が少ない部下にこのように伝えるのはどうでしょうか。
「君は会議の時に一度も発言していなかったね。意見する自信がなくても、次の会議では一度は発言するようにしてくれ」

具体的にどのような行動が良い/悪いのか、改善のためになにをしたらいいのか、部下がすぐにわかるような内容のフィードバックをすることで部下も改善行動がとりやすくなります。行動事実のみを伝えていると、はじめはフィードバックのレベルが低いと感じてしまうかもしれませんが、回数を重ねるごとに部下の成長が感じられるはずです。

さらに、行動へ具体的にフィードバックをするためには日頃から部下との関係性を作っておくことが大切です。
そもそも相手の事がわかっていなければ、相手の行動へ具体的なフィードバックをすることはできません。会議や日頃のやりとりで積極的に部下の様子を見ておくことで、行動の特徴をとらえておきフィードバックするときに活かせる状態にしておくことが大切です。
日頃話していない相手に突然フィードバックされても驚いてしまいますから、積極的に部下と話しておくことが重要になります。気兼ねなく話せる関係性を作る事で、フィードバックも受け止められやすくなります。

特に、事業目標だけでなく、部下の個人的な目標も共有できる関係になるとフィードバックがしやすくなります。
目標を知っておけば、今の部下の行動と目標がどれだけ離れているかを明確に話すことができ、部下にとっても納得感を得やすいフィードバックが出来るためです。

もちろん、急に会話を増やしたり、部下の特徴を捉えろと言われても難しい話です。その場合には、部下の行動で気になった点がある際に細かくフィードバックするつもりでコメントを考えることをおすすめします。
日常の仕事の際にもどんなことをフィードバックしたらいいのか少し考えることで、部下の特徴や強み弱みが見えてきます。

2.フィードバックはポジティブな言葉で挟む

フィードバックをする際の注意点としてフィードバックをできるだけポジティブな内容にすることが挙げられます。フィードバックをしようと考えると、どうしても改善すべき点ばかりに目がいってしまい厳しい言葉をかけてしまいがちです。ただ、褒めることも立派なフィードバックであることを忘れないでください。

実は、人間の脳は厳しい言葉を受けると防衛本能が働き、その言葉を拒絶してしまうと言われています。
厳しい言葉を人の脳は本能的に「脅威」と判断し拒んでしまうのです。しかし、部下にポジティブな言葉だけで改善点を伝えるのは至難の業です。

部下としても受け止めやすく、フィードバックする側としても実行しやすい方法として、厳しいフィードバックをポジティブな言葉で挟む方法がおすすめです。
この方法はいたってシンプルで、まずその状況に合わせた部下のポジティブな言葉を部下に伝えます。その後、改善すべき点を伝え、最後にもう一度部下への感謝や期待などポジティブな言葉で締めるというものです。例を挙げて説明しましょう。

たとえば、先ほどのように会議で批判的な意見ばかりしてしまう部下に、周りの意見も踏まえあまりにも批判的な意見は控えるようフィードバックをしたいとします。

① 君は会議で積極的に発言していて素晴らしいね(状況に合わせたポジティブなコメント)
② ただ、批判的な意見になってしまっていることが多い。もう少し周りの意見も踏まえたうえで発言した方がいい。(批判的なフィードバック)
③ いつも冷静に状況を判断してくれる君には、会議でも内容が深まるよう状況に合わせて意見を言ってくれると期待しているよ。(期待を込めたポジティブな言葉)

また、①と②の間・②と③の間に部下の強みを足すと、より独自性も増した良いフィードバックになります。

① 君は会議で積極的に発言していて素晴らしいね(状況に合わせたポジティブなコメント)
⇒冷静に回りを見て発言できるのは君の強みだね
② ただ、批判的な意見になってしまっていることが多い。もう少し周りの意見も踏まえたうえで発言した方がいい。
⇒全体を見る力があるから、意識すればすぐに改善できるはずだ
③ いつも冷静に状況を判断してくれる君には、会議でも内容が深まるよう状況に合わせて意見を言ってくれると期待しているよ。

上の例のようなフィードバックを受ければ、部下も改善する気になるのではないでしょうか。

ポジティブなコメントをしろと言われてもすぐには部下の褒めるポイントが見つからないという方は、結果だけでなくそこに至るまでの過程で褒めるポイントを探すのはいかがでしょうか。
会議できちんとメモを取っている、資料作成の誤字脱字がないなど小さなことでも、はじめに褒めるだけでフィードバックの受け止められ方は大きく変わると考えられています。

3.フィードバックに最適なタイミングを見極める
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これまで部下に響くフィードバックの方法をお伝えしてきましたが、それではこのフィードバックはいつ伝えればいいのでしょうか?

先ほどもお伝えした通り、簡単なフィードバックは日常的に伝えてコミュニケーションの一部にしてしまうことをお勧めします。
ただ、日頃から長々フィードバックをするわけにはいきませんので、タイミングを見計らって部下にしっかりとフィードバックをする時間をつくることが必要になります。
それでは、いつフィードバックをするのが効果的なのでしょうか。フィードバックをするべきタイミングとしては次の3つが考えられます。

まず一つ目は、「部下からフィードバックを求められたとき」です。
これは当たり前のように思えますが、部下からフィードバックが求められたタイミングと自分に余裕があるタイミングは一致しないこともよくあります。自分の仕事に余裕がなくとも、部下からフィードバックを求められた際にはできるだけ後回しにせずその場でフィードバックをしましょう。

二つ目は、「部下が仕事で行き詰まったとき」です。
誰しも仕事で困った時には誰かからアドバイスが欲しいものです。特に上司であれば、日頃の部下の様子から判断して的確なフィードバックができる可能性が高くなりますし、同じような経験をして悩んだことを共有することもできるのではないでしょうか。部下が悩んでいる、手が止まっていると感じたらフィードバックの言葉をかけるよう意識してみてください。

三つめは、「部下が目標に向かっているとき」です。
先ほど「フィードバックはその人独自のものにする」の中でもお話した通り、目標とフィードバックは非常に相性が良いです。部下が目標に向かって良い方向に進んでいるときには、積極的にポジティブなフィードバックをすることで、部下は「この方向でやっていけばいいのだ」と自信が付き、より成長を促すことが出来ます。

部下に響くフィードバックをして成長につなげよう
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最後に、フィードバックをする際のポイントをもう一度おさらいします。
h今回ご紹介したフィードバックの方法は次の3つです。

①フィードバックをする前に日頃からコミュニケーションをとっておき、その人の行動に対して具体的なフィードバックをすること。
②改善点や批判はポジティブな言葉で挟んで伝え、相手が受け止めやすくすること。
③フィードバックのタイミングを見極めること。
これらを踏まえることで、フィードバックをより部下が仕事に活かすことができ、効果を実感できるようになるはずです。部下を成長させるためにも、部下に響くフィードバックをしていきたいですね。

※出展
American psychological Association “The Effects of Feedback Interventions on Performance: A Historical Review, a Meta-Analysis, and a Preliminary Feedback Intervention Theory” より


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