目標管理

青学・原監督に学ぶ目標管理を徹底する空気の作り方

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青山学院大学が、出雲駅伝に続き全日本学生駅伝でも優勝しました。過去3校しかない学生駅伝三冠に大手をかけています。このような成果を残すことが出来たのは、以前の記事(URL:https://blog.hr-platform.com/2016/12/02/example1/)でも説明した通り、目標管理がカギを握っています。
しかし、単純に目標管理を実践しようとするだけではもちろんうまくはいきません。目標管理の徹底のためには、チームの一人一人が目標管理を徹底する空気を作っていかなければならないのです。

今回は、目標管理を実施するため、原監督が青山学院大学でどのような雰囲気づくりをしたのか、その実践方法を分析していきます。

 

1.そもそも原監督とは何者なのか?
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一時は駅伝出場すら叶わなかった青山学院大学を優勝争い常連校へ導いたことで注目を浴びる原監督ですが、そもそもどのような人物なのでしょうか。

原監督本人も大学時代には全日本インカレ5000mで3位となるほどの実力を持つ選手でした。ところが、大学卒業後に所属した中国電力陸上競技部では怪我が原因でわずか5年で引退となってしまいます。その後は陸上から離れて営業マンとして働くことになり、それまでと全く違う環境での仕事に苦戦、一度は左遷も経験したそうです。
原監督曰く、それまで陸上推薦で進学・就職を決めてきたため「社会人としてのベースがなかった」のだそうです。しかし、次第に営業マンとしてのスキルを身につけ、左遷から一転「伝説の営業マン」となったことは皆さんもご存じの通りでしょう。

原監督はこのビジネスマン時代に培ったスキルを盛り込んだ指導で青山学院大学を引っ張ってきました。今では青山学院大学の選手たちの習慣でもある目標管理シートも、営業マン時代の自身の習慣だったそうです。
これは、もともと営業マンの先輩が実践していたもので、自分で目標を決めその具体的な実現方法を自分の言葉で書き込むことで、「半歩先」の自分を常にイメージしながら成長し続けることが出来たそうです。

 

2.トップとして「覚悟」を見せる
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先程述べたように営業マンとしてはトップ成績であった原監督ですが、駅伝の経験はほとんどなく、監督としては素人でした。就任当時は選手に目標管理の徹底以前に、まずは監督自身への信用を得ることが必要だったそうです。これはどの組織でも同じことでしょう。
それでは、どのようにして原監督は選手たちをついてこさせたのでしょうか。

原監督の就任当初のうたい文句は「5年で出場、7年でシード、10年で優勝争い」でした。
大学側にも学生側にもプレゼンし、常に自分の目標として伝え続けたそうです。兼業では見透かされるため会社も辞めて退路を断ち監督としての「覚悟」を見せました。その上で就任当初は特に厳しく選手へ自分の理念を教え込み、生活習慣などの自己管理を徹底させます。

また、やり方を教え込むだけでなく、根性論ではついてこない若い選手たちに合わせ、「なぜこの練習がいいのか」、「どうしてこのメンバーで今回は出場するのか」など決定事項に対して理由を必ず論理的に説明し、選手が納得して試合に臨むことが出来る環境づくりをしているそうです。
そして、このように理屈を示したうえで、最後は「君が必要だ」という理由をのせて選手の心に火をつける、こうしてチームの足並みをそろえていったのです。

さらに監督は、選手たちが自由に監督へ意見できる雰囲気を作り、選手の意見をつぶさないように意識していたそうです。選手と同じ目線でものを考え、目的を共有することで同じ方向を見て練習することが可能になり、結果的に監督を信頼し目標管理など監督から指示されたことも選手たちが納得感を持って実行しているのです。

選手たちだけでなく良い環境のために学校側と交渉するのも監督の役目です。
グラウンドがなかった就任当初、グラウンドがないから強くなれないという「言い訳」はせず、強くなるために必要だと大学側と「交渉」し、選手が強くなれる環境づくりをしたそうです。
このような大学側との交渉も選手にとっては信頼のおける監督との見方を強める要因になっているのではないでしょうか。

 

3.「大作戦」に隠された明るいチーム作りのコツ
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原監督の様々な発言の中でも一際注目されるのが毎年の作戦名でしょう。

これまでの「わくわく大作戦」、「ハッピー大作戦」、「神ってるぞ青山大作戦」に加え、今回の全日本学生駅伝では「エビフライ大作戦」と、他の大学ではまず耳にしないような作戦名となっています。さらに、優勝後のインタビューでも和気あいあいとした楽しそうな雰囲気が見て取れます。

実は、近年の青山学院大学陸上部へ入部するメンバーは「監督と明るいチームの雰囲気に惹かれた」と語る選手が多いそうです。若手選手たちにも魅力的に映る、このチームの明るさの秘密はどこからきているのでしょうか。

陸上競技、特に長距離と言えばどうしても忍耐強さ、辛さのイメージがついて回ります。このイメージのままではチームの雰囲気が落ち込んでしまい良い選手も入ってこないと考えた原監督は、これまでの印象を一変させ明るく楽しい雰囲気を目指しました。
監督がかける言葉も「成功のイメージ」が湧く言葉にすることで、選手たちの試合でのメンタルが引き上げられたそうです。昨年の全日本学生駅伝で東洋大学に大敗を喫した後も、あえて明るい言葉をかけ選手たちにもネガティブな発言は避けるように指導しました。

明るい作戦名と共に選手たちと駅伝を楽しむことで、明るさを青山学院大学「らしさ」としさらに魅力的なチーム作りを行っているのです。

 

4.若手社員の考える原監督流の目標管理の魅力
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これまで述べてきた原監督の目標管理の実践法ですが、実際の若手からはどう見えるでしょうか。
実際に社員一年目である私の目線で少し意見を述べさせていただきたいと思います。

まず原監督の言葉を調べていて驚いたのは「今の若手は根性論ではついてこない。なぜこの方法で行くのか理屈を説明する必要がある」とおっしゃっていたことでした。反論もあるかと思いますが、概して今の若者は「とにかくやれ」と言われることに抵抗のある世代だと思います。
たとえば「目標管理を実施します」と言われても、特になんの説明もなく実施されてしまうとなぁなぁのまま適当に済ませ、特に結果も出ずに終わってしまうことが多くなると予想できるのです。

その点で、原監督の必ず論理的に理由を説明する姿勢と、その上で+αとして「なぜ君なのか」と情熱を語ることは今の若者が上司に求めているものそのものであるように感じます。何か施策を実行される際に、若手の食いつきが悪いと感じられたらその施策が有効である理由を重点的に説明されると良いかもしれません。

また、これは特に目標管理に関して言えることですが、所謂「ゆとり」の世代は学校でも成績の順位発表が廃止されるなど数値目標を立てる機会が少なかった世代です。そのためか、「目標」や「ノルマ」という言葉を嫌がる傾向にあります。しかし、本当に嫌がっているのかというとそうではなく、単純に目標を立ててそれを達成した成功体験がないだけともいえます。
このような若手に目標管理をやる気にさせるためには原監督のように若手と同じ目線で物事をとらえ、若手の意見をつぶさないよう、上から押し付けるのではなく共に実行していく姿勢を見せていくと若手も「自分の意見が反映されている」と感じついていきやすくなると思います。

管理するだけでなく自分で目標と結果を把握させ、どうすればいいかを考えさせる「自立」を促すことで、若手社員も自発的に動くようになるのではないでしょうか。


本ブログ「HR-Platform」は企業の組織人事に関わる様々な疑問の解決を目指して、フォスターリンク株式会社が運営しています。

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会社概要
■会社名 フォスターリンク株式会社
■本社所在地 〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-34-6 八光ビル7階
■設立 2000年 10月


 

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