目標管理

目標管理の成功例として見る青山学院陸上部

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10月に行われた出雲駅伝では青山学院大学が優勝しました。なぜ青山学院大学が優勝できたのか、「ワクワク大作戦」などの印象的な作戦名に注目が集まりがちですが、優勝できた背景には原晋監督の目標管理を中心とした指導法があったのです。
優勝できるチーム作りのため、監督はリクルーティングやチーム作りだけでなく、営業マン時代に学んだ目標管理に力を入れました。

ビジネスの世界でも昨今注目される目標管理ですが、実践しようとしてもなかなか具体的なやり方が分からない、効果が出なかったという方も多いのではないでしょうか。今回は目標管理の成功例として青山学院大学長距離ブロックのやり方をご紹介していきます。

1.「半歩先」の目標が選手たちを伸ばす

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「目標管理」というからには、まず目標を決めなければいけません。目標管理が上手くいくかどうかのカギを握っているのは目標を決める段階といっても良いかもしれません。
青山学院大学の原監督は、営業マンの時代に先輩が実践していた目標管理方法を活かし、選手たちに目標を書かせて共有させています。選手たちが記入した目標管理シートを食堂に貼ることで全員に公開、本人も毎日目にすることで達成への意欲が高まるのだそうです。

シートの具体的な書き方としては、A4用紙を活用し、
①1年間の目標、
②1ヶ月ごとの目標、
③週の目標
を選手に書いてもらいます。
どんなに小さな大会でもそのときの状況に応じた目標設定と確認を繰り返し行うそうです。

また、原監督は目標は書いて自分の中で反復させるだけでなく、選手同士で共有して互いにアドバイスをさせています。5,6人のグループを作り互いの目標を共有させてアドバイスすることを通じて、自分の目標や現状を客観的に見直す機会を作っているのです。

また、ここでは目標を立てるたびに毎回メンバーを替え、違う顔ぶれに向けて話をさせることがポイントになります。記録の良し悪しや学年を超えて話をすることで互いの立場を理解し、かつ選手がアドバイスし合うことで自然とチームに一体感が生まれるのです。

選手が自分のポジションを理解した上で、その立ち位置で頑張る方法を示すことも重要であると原監督は語っています。たとえ最下位でも、そこからどう伸びるか評価することで、自分にも役割がある、がんばれば評価してもらえると理解することでどの選手も目標達成に意欲を持ちチーム一丸となって活動する原動力にもなっているのです。

2.評価の理由を説明する

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目標を決め、それを達成した(もしくは達成できなかった)後は評価が大切になります。成果に対してきちんとした評価がされなければ、メンバーのモチベーションが下がってしまいます。原監督は、陸上部の選手たちに対してなぜこのような評価をしたのかを選手個人に対して明確に説明するようにしているそうです。

約50人いる部員のうち、出雲駅伝に出場できるのはわずか6人という狭き門です。ですから、なぜ今回の大会で選抜したのか(選抜をされなかったのか)の理由を「全体のバランスでこうなった」「好き嫌いでこうなった」のではなく、「君が・・・だからこうなった」と個人に確実な要因がある説明できるような評価をしているのです。

特に、選ばれなかった選手にはなぜ選ばなかったのか、どこを伸ばせば成長できるのかを付け加えて丁寧に説明するそうです。そのような説明をされれば、選手たちも自分のどこが評価されていて、どこを直せば良いのかが明らかになり、先の目標も立てやすくなります。
これは、企業組織においても同じことが言えるのではないでしょうか。本人にとっては不本意な評価となってしまっていても、個人に合わせた納得のいく理由の説明と、今後の課題点を示すことが出来れば、仕事に対するモチベーションも維持することができます。

3.チームをコントロールしすぎない
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原監督を中心に動いているイメージのある青山学院大学陸上部ですが、ある程度理念が浸透してチームとして成り立ってきている今は、部長や寮長など選手たちに権限を譲っています。

もちろん、まずは理念や組織としてのやり方を徹底して選手たちに教え込むことが必要です。ただ、「監督がいるからやる」のではないチームにすることを目指して徐々に権限を委譲したことで、結果的に今は監督がいなくても練習ができるチームになっているそうです。
陸上をはじめとする運動部は特に強豪校ほど中央集権になりがちといわれます。その中で、強豪校ではなかった青山学院大学を強くするために、あえて中央集権にするのではなく自分で考えさせる方へ進めるしかないと考えたのだそうです。自分で目標を決め、達成していく過程で選手が自立していき、今のような自分で考えて動く個々が強いチームになったのです。

また、個々の強さだけでなくチームとして動くためにはメンバーが自分の立ち位置、組織の考え方が理解できていることが大切です。個々の役割に関しては、目標設定の仕方の際に説明した通りそれぞれの目標を共有していく中で自然と把握されているそうです。
 
青学陸上部流の目標管理のコツ
2015年の箱根駅伝報告会で、原監督は「学生の皆さん、(駅伝チームが成し遂げたように)自分の目標を一つずつ、半歩ずつクリアしていくことで、多少の困難はあるかもしれないが、必ず夢はかなうと思います。自分の夢に向かって努力を続けてください」と発言しました。
監督就任時の「10年で優勝争い」という宣言を見事に成し遂げた監督ですが、その中心となったのは目標管理といえます。目標管理を実践しようとしてもなかなか浸透しない、効果が出ないと思われている方もこの青山学院大学の駅伝での成功を見れば目標管理にも効果があると実感できたのではないでしょうか。今回ご紹介した、

・半歩先の目標を立てさせる
・評価の理由を明確にし、個人個人に説明する
・理念が浸透したら権限を委譲し、コントロールしすぎない

これらの点に注目して、目標管理を実践してみてください。もちろん、組織ごとに合うやり方があります。今回は青山学院大学流のやり方をご説明しましたが、このやり方をベースに調整を加えて、ご自身の組織に合った目標管理のやり方を確立させていってください。

 


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■設立 2000年 10月

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